アンダーすっきり加工について
度数がそこそこにあるメガネにおける外見的なレンズの厚み感には大きくわけて、主として3とおりあります。
(1) 斜め横から装用者のメガネを見た場合の、耳側や鼻側の白い全反射やウズ
(2) 正面や、正面やや上から装用者のメガネを見た場合のレンズ下縁の白い反射やウズ
(3) ま横から装用者のメガネを見た場合の、鼻側や耳側におけるレンズのはみ出し
このうちの、(3)については、実際のところ、装用者自身が気にするほどには目立ちません。
ですから、この厚みを減らそうとして、耳側や鼻側を大きく斜めにカットするやりかたは、
感心できません。
肝心の正面から見られた場合の見え方において、その部分が全反射して厚み感が
非常に強く感じられてしまうからです。
(1)は、強度近視になるとかなり目立ちますが、これについては、レンズのサイズを小さめにすることや、屈折率の強いレンズを用いることにより、相当に減らすことができます。
(2)については、特に強度でなくとも、白い全反射は意外に目立つことがよくあります。
それはレンズのエッジの山(ヤゲン)の作成形状が、いまひとつだからです。
この見苦しい白い全反射は、本会会員ならみな実施している
アンダーすっきり加工によりかなり減らすことができます。
下記にその実例をお目にかけますが、これらの写真においては、
すべて右眼(向かって左)の方が普通のエッジングで、
左眼(向かって右)の方に「アンダーすっきり加工」が施されています。
* このアンダーすっきり加工は、本会元代表の岡本隆博氏が、以前に
「日本眼鏡技術研究会雑誌」に発表したものです。
写真の目の… 左と右を見比べてみてください。
*こちらから見て右が、「アンダーすっきり加工」をしたものです
(1)44□29(天地30.5)の枠に屈折率1.6で−3.00Dのガラスレンズが入っています。
光学中心の位置は左右共に天地中央ラインから3mm上で、レンズ下縁の厚みは
左右共に2.0mmです。
PDは左右共に33mmに合わせています。
この程度の、強度とも言えない度数でも、普通のエッジング加工であれば、右眼(向かって左)のレンズでは下縁の白い全反射により厚み感が出ているのがおわかりいただけると思います。
(2)上記と同じ枠に、屈折率1.5で−6.00Dのプラスチックレンズを入れた場合の比較です。
レンズの光学中心の高さは、やはり天地中央ラインから左右ともに3mm上です。
PDは左右ともに33mmに合わせています。
レンズ下縁の厚みは、左右3.7mmです。
この程度の度数の近視になると、ほぼ正面から見た場合でも、すでに右眼の方にはレンズ下縁にけっこう目立つ白い全反射が出ています。
(3)43□23(天地28mm)の枠に屈折率が1.70のプラスチィックレンズを入れたものです。
光学中心の高さは左右ともに天地中央ラインです。
PDは左右共に29.5mmです。
レンズ下縁の厚みは左右ともに2.2mmですが、この程度の厚みでも、アンダーすっきり加工をするのとしないのとでは、こんなに厚み感の差が出るのです。
度数は
R=S−8.00 C−1.25
Ax176
L=S−8.00
C−1.50
Ax15
垂直方向の度数としてはR(右眼)レンズの方がやや弱いのですが、レンズ下縁の白い全反射は、Rレンズの方が、ずっと目立っています。
* これらの写真は、CGで作った「イメージ画像」ではありません。
実際のメガネを写真で撮ってそのまま載せたものです。