メガネのレンズには、大きく分けて、
凸(プラス)レンズ
と
凹(マイナス)レンズがあります。
プラスレンズについては丸面取りはほとんど関係がないので、ここではマイナスレンズについて説明をします。
マイナスレンズを枠に収まるように削りますと、断面図としては下記の
A1、B1、C1 のようになります。
(細部がわかりやすいように、右に一部を拡大して描いてあります)
A1
B1
C1
このままですと、矢印の部分が尖ったままですので、ここに物が当たりますと、ここが欠けてしまうことがありましし、指や顔の皮膚などが触れても痛くて具合が悪いわけです。
ひどい場合には、レンズの下の端のカドが頬の皮膚に当たって、そこが赤くはれている(切れている)、なんていう例もあったくらいです。
そこで、
面取りと言って、この尖った部分のカドを少し落とすような削りを加えます。
それがなされたものが、
A2、B2、C2です。
自動玉摺機で機会による自動面取りをした場合や、手で普通に面取りをすると、このような形になります。
A2
B2
C2
A1を
A2にした面取りなら、まあ、この状態でも大丈夫なのですが、ところが、
B1、C1の場合には、このカドの尖りが元々強かったので、このように
B2、C2のような一つの角度による面取りでは十分ではなく、これだとまだけっこう尖ったカドが2つ残っていますから、やはり、ここに物が当たると欠けが生じる恐れが大きいのです。
それでは面取りの本来の目的を達成できません。
そうかと言って、
B3やC3のように、幅の広い面取りをしますと、確かにレンズ面に近いカドの尖りかたは多少ましになりますが、メガネを正面から見ると、面取り部分が白く全反射して見えて、たいへん不細工な厚み感の強いメガネになってしまいます。
B3
C3
それで、
B1、C1の場合には、
B4やC4のように、
丸面取りと言って、カドを小さく「丸く」落とす面取りを施しますと、ものが当たっても大丈夫、という面取り本来の役目を果たしながら、しかも目立たない、まことに好ましい面取りとなります。
B4
C4
B1やC1の場合に、
B4やC4の「好ましい丸面取り」を実施している店は少ないのですが、この超うれしいメガネ研究会の店では、メガネのレンズには必要に応じて丸面取りをして、物理的にも美観的にも望ましい、すなわち、欠けにくくて目立たない、エッジの仕上げをしているのです。
なお、この丸面取りについては、既に30年近く前に、当研究会の元代表である岡本隆博氏が、同氏の著書『よくわかる眼鏡講座』において、その利点や必要性を説明したのですが、技術的な難しさや手間がかかるために、実際に行なっている店は非常に少ないのが実情なのです。